年収・働き方
給料が上がらないとモチベーションは下がる|サボる前にやる気が落ちた理由を分ける

給料が上がらなくて、モチベーションが続かない。
前は頑張れていたのに、最近は手を抜きたくなる。
それは甘えなのか、このまま続けていいのか。
給料が上がらなければ、やる気が落ちるのは自然なことです。ただ、サボるのはすすめません。
人材紹介の面談で、私は、成果が出なかったときにどう取り返したかを必ず聞いています。
この記事では、やる気が落ちた理由を3つに分けて最初の一手を決める方法と、手を抜いてよいところと抜かないところの線を書きます。
読み終えるころには、自分のやる気が落ちた理由と、今日紙に書く2行が決まっています。
給料が上がらないときのモチベーション
やる気が落ちるのは普通
頑張っても給料が何年も変わらなければ、気持ちが仕事から離れていくのは自然なことです。頑張る理由が1つ消えるからです。「こんなことでやる気をなくすのは甘えだ」と、自分を責めなくていい。
給料に不満を持っているのは、あなただけではありません。厚生労働省の「令和7年雇用動向調査」(第12表)では、転職した人のうち、前の会社を辞めた理由が「給料等収入が少なかった」だった人は、25〜29歳で13.3%、30〜34歳で12.8%でした。この年代では、「その他の個人的理由」を除くと、どの理由よりも多い数字です。
気持ちと行動を分けて扱う
では、どうすればいいのか。検索して出てくる答えは、3つに割れています。サボってもいい。給料以外のやりがいを見つけよう。結果を出して、それでも上がらないなら他へ行け。
私の答えは、そのどれとも少し違います。気持ちは、無理に上げなくていい。ただ、行動の床は下げない。
床というのは、会社が評価している成果と、勤怠と態度のことです。成果は、営業なら会社から求められている数字、営業以外なら任されている仕事の結果を指します。勤怠と態度を床に入れたのは、私が面談で人を見るとき、この2つを成果より重く見ているからです。
そのうえで、やる気が落ちた理由を分けてから、出口を選んでください。出口というのは、いまの会社で直すのか、居心地を取って残るのか、移るのか、という行き先のことです。
では、あなたのやる気は、何が理由で落ちたのか。
やる気が落ちた理由の分け方
給料が上がらずにやる気が落ちる理由を、私は「割に合わない」「頑張りが返ってこない」「この先が見えない」の3つに分けて考えます。どれに当たるかで、最初にやることが変わります。
仕事が増えたのに給料が同じなのがつらいなら、割に合わない。
成果を出したのに給料に反映されないなら、頑張りが返ってこない。
いまはいいが、何年先も上がる気がしないなら、この先が見えない。
2つ以上に当てはまる人は、いちばん強く当てはまる1つから始めてください。
会社が求める成果にまだ届いていないなら、3つのどれより先に、自分の側を見てください。何から手をつけるかは自分に原因がある場合に書きました。給料よりも、営業の仕事そのものがつらくてやる気が落ちているなら、何がつらいのかを自分の側と職場の側に分けて考える営業を辞めたいと感じる原因を切り分ける記事を、先に読んでください。
割に合わない給料
入ったころより仕事は増えた。後輩の面倒も見ている。任される責任も重くなった。それなのに、給料は変わらない。
「バカバカしい」と感じるのは、この型です。増えた仕事に、給料が追いついていません。
最初にやるのは、入社してから増えた仕事と責任を書き出すことです。そのうえで、会社の評価の項目にそれが入っているかを確かめてください。評価シートや評価面談で何を見られているかを見ればわかります。評価シートが無い会社なら、上司に「この仕事は、評価のどこで見てもらえますか」と聞いてください。
項目に入っていなければ、いくらこなしても給料には返ってきません。そのときは、書き出したものを持って、増えた仕事を評価に入れてもらえないかを相談します。その前に、上司に給料を決める権限があるかを確かめてください。最後に自分の昇給を決めたのは誰かを上司に聞けば、わかります。権限の無い上司に話しても、給料は動きません。
頑張りが返ってこない
会社が見ている成果は出している。それでも給料が変わらない。
給料は、能力より「行く場所」で決まります。同じ成果でも、それが給料に変わる会社と、変わらない会社がある。上司に相談して「もっとやる気を出せ」と返されたなら、その返事は、あなたの悩みの答えになっていません。
最初にやるのは、この1年で成果が出た月と、そのあとの給与明細を並べることです。営業以外の仕事なら、評価面談で良い評価を受けた時期を並べます。明細で見るのは、基本給、手当、賞与の3つの欄です。成果が出たあとに、どこが動いて、どこが動かなかったのかを、自分の目で確かめられます。
どこで止まっているのかは、固定給の比率、歩合の上限、査定の回数、決める人の4か所で見分けます。確かめ方は給料の決め方を確かめる方法に書きました。
この先が見えない
職場の居心地はいい。人もいいし、残業も多くない。ただ、上の人を見ても、この先に給料が上がる道が見えない。「ホワイトだけど給料が低い」職場にいる人は、この型に当たります。
この型の人が決めるのは、居心地と給料のどちらを取るかです。
最初にやるのは、いまの職場で手放したくないものを1行で書くことです。人間関係なのか、休みなのか、通いやすさなのか。会社を選び直すとき、この1行が軸になります。
決めるときに、私の考えを1つ置いておきます。同じ会社に居続けると、その会社の考えでしか仕事ができなくなり、価値観が固まってしまう。ほかのやり方を知らないまま年数だけが過ぎる、ということです。ただし、会社を転々とすればいいわけでもありません。軸選びが大事です。
決める前に、上がる道が本当に無いのかを確かめてください。数年後の自分の給料は、いまの上司や先輩の給料に答えが出ています。見方は昇進で上がるかは、上の人の給料でわかるに書きました。確かめたうえで居心地を取ると決めたなら、それも正しい選択です。
どの型でも、出口が決まるまでには時間がかかります。そのあいだ、手を抜きたくなる気持ちとどう付き合うか。
サボるのをすすめない理由
先に言っておきます。やる気を出せとは言いません。気持ちは下がったままでいいし、全力も要りません。「給料が同じなら、頑張るだけ損だ」という計算は、いまの会社の中では合っています。
ただ、私には、面談で必ず聞いている質問があります。
面談で必ず聞く質問
成果が出なかったときに、どうやって取り返して、成果を出したか。転職を考えて相談に来た人に、私はこれを必ず聞きます。
この答えで、環境を変えても変わらない人かどうか、つまり、会社を移っても同じところでつまずく人かどうかがわかるからです。うまくいかない時期は、誰にでもあります。私が見ているのは、その時期に何をしたかです。
手を抜いて過ごした期間には、この質問に話せることがありません。「給料が上がらなかったので、力を抜いていました」は、事情としてはわかります。ただ、取り返した話にはならない。いまは残るつもりでも、いつか移ると決めてうちに相談に来たら、私はこの質問をします。
残ると決めた人にとっても、取り返した経験は無駄になりません。次にうまくいかない月が来たとき、前に何を変えて戻したかが、自分の手元に残るからです。
だから、サボるのはすすめません。
抜いてよいところと抜かないところ
抜いてよいのは、気持ちと、評価に入らない上乗せの頑張りです。誰も見ていない長い残業まで、いまは抱えなくていい。
抜かないのは、最初に書いた行動の床です。会社が評価している成果と、勤怠と態度。勤怠と態度が崩れると、成果とは関係なく、会社が人を切る理由になります。なぜそう言えるかは勤怠と態度だけは崩さないに書きました。
適性はもちろんあります。それでも私は、ある程度のところまでは、どんな仕事も頑張ればいけると思っています。やる気が無い日でも、床までなら届く。まずは、求められている成果を出すところまで頑張る。そこから先の全力は、いまは求めません。
立て直した記録を残す
やる気が落ちているいまの時期は、私が面談で聞く質問の答えを作る時間にできます。
うまくいかなかった月があったら、その月のうちに1行で書いておいてください。書くのは次の3つです。
何が落ちたか
何を変えたか
翌月どうなったか
たとえば営業なら、「9月はアポが前の月の半分だった。電話をかける時間帯を夕方に移した。10月は前の月の8割まで戻った」のように書きます。営業以外の仕事なら、任されている仕事の結果で書けば足ります。
いま成果が落ちていない人は、落ちた月が来たときに、その月のうちに書いてください。あとから思い出して書くと、何を変えたのかが抜け落ちます。
ただ、床を保つ理由が給料だけだと、給料が止まっているあいだ、また同じところで止まります。給料のほかに、何を理由にすればいいのか。
給料のほかに頑張る理由
給料のために働くのでいい
給料のために頑張るのは、まっとうな理由です。生活があって、稼ぎたい。恥じることはありません。
困るのは、頑張る理由が給料1本しかないことです。その1本が止まると、気持ちも一緒に止まる。給料が上がらない会社にいるあいだは、止まったままになります。だから私は、頑張る理由は2本持っておいたほうがいいと考えています。
何のために頑張っているか
私は面談で、次のことを聞きます。
何をモチベーションに頑張っているか
仕事をしていて楽しいと感じるのはどういう時か
目指す像はあるか
キャリアを叶えた先で、どんな生活をしていきたいか
2本目の理由は、新しく探さなくていい。2つ目から4つ目の質問で作れます。
1つは、楽しいと感じる時から考えることです。この1年で「この日は悪くなかった」と思えた日を思い出してください。たとえば、難しい商談がまとまった日や、後輩に教えたことがうまくいった日、自分の工夫で段取りが速くなった日です。そのとき何が良かったのかを書くと、それが給料とは別の理由になります。
もう1つは、目指す像から考えることです。1年後に、どんな働き手になっていたいか。後輩に頼られる人なのか、任される仕事の幅が広い人なのか。その先でどんな生活をしていたいかも、並べて書いてかまいません。目指す像は、給料が止まっているあいだも消えません。
どちらからでもいいので、1行で言えるようにしておいてください。
それでも、やる気が戻らないまま何か月も続いたら、どうするか。
やる気が戻らないときの判断
辞める線は給料の決め方で引く
やる気は、戻ることもあれば、戻らないこともあります。やる気が戻らないことだけでは、辞める理由として足りません。
辞めるかどうかの線は、会社の給料の決め方で引いてください。4か所を確かめて、成果は出ているのに、どこかが止まっていて動く見込みが無い。その状態なら辞めていい、という線を上がらない会社の特徴と、辞めていい線に書きました。
やる気が落ちたことを、そのまま転職の理由にしないでください。うちに相談に来るときは、立て直した記録と、給料のほかの理由を持ってきてください。私はそこを聞きます。
他社と1回話して比べる
私は人材紹介の会社の代表ですが、辞めると決める前に、いまの会社に残る選択肢を消さないことをすすめています。退職を伝える前に、他社と1回話してみてください。紹介会社に相談して候補の会社の話を聞く、気になる会社の人に話を聞きに行く、といった形でかまいません。
情報収集は続けながら、実際に1社と話してみると、いまの会社をフラットに比べられると思います。
比べた結果、移ったほうがいいという結論になることもあれば、いまの会社のいいところが見えて、残る踏ん切りがつくこともあります。どちらになっても、やる気だけで決めるより、納得して動けます。
今日書いておく紙
今日、紙を1枚用意して、2行だけ書いてください。
1行目は、うまくいかなかった直近の月に、何を変えたか。
2行目は、給料のほかに、何のために頑張っているか。
まだうまくいかなかった月が無いなら、今日は2行目だけで足ります。1行目は、落ちた月が来たときに書き足してください。自分の型の最初の一手がまだなら、それも今週のうちに済ませてください。
残るにしても移るにしても、この紙が、次に決めるときの材料になります。やる気が戻るのを待つより、先にこの2行を書いてください。
