年収・働き方
給料が上がらないのはなぜ?|頑張りが年収に変わる会社と、変わらない会社の違い
頑張っているのに、給料が上がらない。
自分の努力が足りないのか、会社がおかしいのか。
どちらなのかわからないまま、辞めるのも残るのも怖い。
人材紹介の仕事をしてきて、私がいちばん伝えたいのは、給料は能力より「行く場所」で決まる、ということです。
同じ数字を出しても、それが給料に変わる会社と、変わらない会社があります。
この記事では、上がらない原因を自分側と会社側に分け、会社の給料の決め方を4か所で確かめる方法と、頑張りが年収に変わる会社の見分け方を書きます。
ただし、自分の数字は先に見てください。そこから始めます。
給料が上がらない理由
給料は、能力より「行く場所」で決まります。
頑張っているのに給料が上がらないなら、まず見るのは、いまの会社が頑張りをどう給料に変えているかです。頑張りが給料に変わらない決め方をしている会社で、頑張りを増やしても、給料は動きません。私は人材業界で7年働いてきました。同じ人が場所を変えて数字が変わる例は、面談で実際に見ています。
ただし、順番があります。行く場所の話に入る前に、いまの会社で求められている数字を出しているかどうかは、自分で先に見ておいてください。そこを飛ばすと、この記事の答えが、あなたには当てはまらなくなります。
上がらないのは当たり前なのか
何年も上がらないのは当たり前なのか、どこの会社もこんなものなのか。当たり前ではありません。9割の会社は賃金を上げています。ただ、それがあなたに届いたかどうかは、別の話です。
厚生労働省の「賃金引上げ等の実態に関する調査」(令和7年)では、賃金を引き上げた、または引き上げる予定の企業は91.5%と公表されています。社員が100人以上いる民間の会社を対象にした調査です。
9割の会社が上げたと答えているのに、あなたの給料は動いていない。ここで「うちの会社は残りの1割だ」と考えるのは早いです。この調査は会社ごとの答えで、社員一人ひとりの給料が上がったかどうかは見ていません。会社として賃上げをしても、それが誰に、どういう決め方で配られるかは別の話だからです。
つまり、会社が上げたかどうかと、あなたに届いたかどうかは、別の問いです。
同じ人でも、場所が変わると成果が変わる
私が面談で見てきた中に、こういう人たちがいます。
法人向けと個人向けの訪問営業をやっていて、新規の関係を作るのがうまくいかなかった人が、反響中心の電話営業(広告を見て問い合わせてきた人に、電話で対応する営業)に移ったら、1対1の電話対応を丁寧にこなして成果を出した。
法人向けではあまりうまくいかなかった人が、個人向けの、相手の気持ちに寄り添う営業に変わったら成果が出た。
逆に、電話営業がうまくいかなかった人が、対面に切り替えたら関係構築がうまくなった。
同じ人です。変わったのは、お客さんとの接点の作り方です。
給料も同じ構造にあります。同じ数字を出しても、それが給料に変わる会社と、変わらない会社がある。だから、上がらないときに最初に見るのは、いまいる場所の決め方です。
ただ、その前に見ておくものがあります。自分の側です。
自分に原因がある場合
先に、耳の痛いほうから書きます。
それでも読んでほしいのは、ここを飛ばして「会社が悪い」と決めてしまうと、次の会社でも同じことが起きるからです。場所を変えたあとに、同じ壁に当たってほしくない。この章は、あなたを責めるためではなく、次の場所で同じ思いをしないために置いています。
まず、会社の基準で数字が出ているか
いまの会社が求めている数字を、あなたは出していますか。
ここで言う数字は、会社が見ている基準の数字です。売上なのか、粗利(売上から仕入れや原価を引いて、会社に残る分)なのか。新規の件数なのか、既存の継続なのか。会社によって見ている数字は違い、自分の中の達成率とは、たいていずれています。
その基準で見て、数字が出ている。それなのに給料が動かない。
それなら、原因はあなたの側にありません。この章の残りは読まなくていいので、次の「会社に原因がある場合」へ進んでください。
会社の基準がわからない人は、先に「自分の数字を会社の基準で置き直す」の節へ飛んで、確かめてから戻ってきてください。
数字が出ていないなら、先に作るもの
数字がまだ出ていないのに、「固定給はまず30万円ほしい」「土日はしっかり休みたい」と言う人に、面談で会います。気持ちはわかります。生活があって、休みも要る。
ただ、私はその場で、いまの現在地を一緒に見ます。いまの会社で求められている数字を、どこまで出せているか。人より上に立てるものが、いま何かあるか。そこがまだ無いうちに場所だけ変えると、次の場所でも同じところで止まります。
プロ野球選手になりたい小学生が、いきなりプロの球を打とうとしても打てません。才能の話ではなく、順番の話です。バットを振る回数と、振り方を先に作る。営業も同じで、数字が出ていない時期にやることは決まっています。
いまの会社が見ている基準(売上か粗利か、新規か既存か)を、上司に確かめる。
その基準で、まず1つ、自分で説明できる数字を作る。
どうやって取ったかを、あとから人に話せる形で残しておく。
これができれば、あなたの側の原因は消えます。そのための時間は、ちゃんとあります。会社が人を切るのは勤怠と態度が崩れたときで、数字が出ないというだけで切られることは、まずないからです。
数字を作ってから、この記事の続きに戻ってきてください。そのとき、上がらない原因が会社の側にあるかどうかが、はっきり見えます。
会社に原因がある場合
数字が出ているのに上がらないなら、原因は会社の側にあります。ただし、「業績が悪いから」「業界の給料が低いから」で片づけると、見るべきところを見落とします。
会社側の原因は、給料の決め方にあります。 固定給の比率、歩合の上限、査定(給料を見直すための評価。評価面談や人事考課と呼ぶ会社もあります)の回数、誰が決めているか。この4か所のどこかで、あなたの頑張りは給料に届く前に消えています。
業績と業界は原因の半分
業績が悪い。業界の給料が低い。会社側の原因として、まず出てくるのはこの2つです。どちらも本当です。ただ、同じ業界で、同じくらいの業績の会社でも、上がる会社と上がらない会社があります。業界と業績は、原因の半分です。
残りの半分は、その会社が、出た数字をどうやって給料に変えているか。ここからが決め方の話です。
基本給は動かず、手当だけが動く仕組み
営業の給料で多いのが、基本給を据え置いて、手当や歩合で調整する決め方です。
成果が出た月は手当が乗って増える。
翌月に数字が落ちれば、元に戻る。
基本給は何年たっても同じ。
この決め方だと、いい月があっても年収の底は上がりません。「頑張った月は確かに増えたのに、上がった実感が残らない」と感じているなら、この型にいる可能性が高いです。基本給が動かないかぎり、賞与の計算のもとになる数字も動かないので、年収で見ると差がつきません。
歩合の上限と査定の回数
歩合に上限がある会社では、上限を超えた分の頑張りは給料に変わりません。月に何件取っても、歩合はここまで、と決まっている。それ以上の数字は、会社の売上にはなっても、あなたの給料にはならない。
査定の回数も見てください。年1回の査定しかない会社では、1年分の数字が、1回の面談で決まります。その面談の直前に数字が落ちていれば、いい期間があったことは評価に残りにくい。半年に1回、四半期に1回と、回数が多いほど、数字が給料に変わる機会は増えます。
誰が給料を決めているか
最後に、決めている人が誰かを見ます。
現場の数字を見ていない人が決めている会社では、数字を出しても、上司の印象で給料が決まります。直属の上司に決める権限が無く、その上の人が全体を見て一律に配っている会社も同じです。あなたが誰に評価されているのかを知らないまま、上司に頑張りを見せ続けても、給料には届きません。
決め方を確かめるときは、この「決める人が誰か」まで見てください。
では、自分の会社の4か所は、どこを見れば確かめられるのか。
給料の決め方を確かめる方法
「上がらない気がする」で終わらせず、書面と数字で確かめます。見るのは、前の章で挙げた4か所です。
確かめる4か所
紙かメモ帳に、次の4つを書き出してください。
固定給の比率(月給のうち、固定で決まっている部分がいくらか)
歩合の条件と上限(何を、いくつ取ったら、いくら乗るか。上限はあるか)
査定の回数(年に何回、誰との面談で決まるか)
決める人(最終的に金額を決めているのは誰か)
4つを1枚に並べると、自分の会社が、頑張りが給料に変わる決め方かどうかが見えます。感覚で「上がらない」と言っていたものが、どの項目で止まっているのかがはっきりします。
給与規程と雇用契約書で読むところ
4か所を埋める材料は、給与規程と雇用契約書にあります。
給与規程は、就業規則と一緒に会社が備えているものです。社員が常時10人以上いる会社なら、総務か人事に「給与規程を見せてください」と言えば見られます。見せてもらえない会社なら、それ自体が、決め方の見えない会社だという材料になります。
読むのは、昇給の条項と、歩合や手当の計算のところ。雇用契約書には、入社時の固定給と手当の内訳が書いてあります。入社したときの求人票が残っていれば、それも並べてください。求人票に書いてあった「年収例」と、いまの自分の年収を比べると、上がる道が実在するのかが見えます。
読んでもわからない項目は、人事か上司に「この規程のここは、どういう計算ですか」と聞いてください。これは決め方の確認です。給料を上げてほしいという話とは別なので、聞きやすいはずです。
自分の数字を会社の基準で置き直す
最後に、自分の数字を、会社が見ている基準で計算し直します。
自分では「達成率100%」と思っていても、会社が見ているのが粗利なら、粗利で計算し直したときの数字は別物です。会社が売上と粗利のどちらで見ているのか、粗利率はいくつなのかは、上司か経理に聞けば出てきます。私は面談で、本人の言う達成率を、粗利率をもとに計算し直すことがあります。すると、本人の感覚と会社の評価がずれている理由が、そこで見えます。
会社の基準で見て、数字が出ている。そのうえで4か所のどこかが止まっている。
ここまで確かめたら、原因は決め方だと確定します。
では、その決め方の中に、今の会社で上がる道は残っているのか。
今の会社で給料を上げる方法
今の会社で上げられるのは、決め方の中に「上がる道」が残っている会社だけです。交渉も昇進も、決め方の外では動きません。
上司に言う前に、権限の有無を見る
上司に言う前に、査定で上司がどこまで決められるのかを確かめてください。
上司に権限がある会社なら、自分の数字を会社の基準で示したうえで、給料の話をする意味があります。上司に権限が無い会社で交渉すると、上司が困るだけで、給料は動きません。「上に言っておく」で終わります。
言うなら、4か所の確認結果と、会社の基準で置き直した数字を持って行ってください。
辞めると言って上げるやり方は勧めない
「辞めます」と言ったら引き止められて、給料が上がった。そういう話を聞くことはあります。
ただ、それで上がっても、決め方はそのままです。あなた1人の例外として上がっただけです。モヤモヤを残したまま会社に残ることになり、しかも会社側は「辞めると言った人」としてあなたを見るようになります。
私はこのやり方を勧めません。その先が続かないからです。
昇進で上がるかは、上の人の給料でわかる
昇進すれば上がるのか。それは、いまの上司や先輩の給料に、すでに答えが出ています。
役職が上がった先の給料は、その役職にいる人の給料です。数年後の自分の年収を知りたければ、そこを見れば済みます。上司の給料が、いまのあなたと大差ないなら、昇進はこの悩みの出口になりません。役職手当がつく代わりに歩合の対象から外れて、年収で見ると下がる決め方もあります。
資格と副業は別の話
資格を取る、副業をする。収入を増やす方法として、この2つがよく挙がります。
どちらも収入を増やす手段です。ただ、この記事の悩みは「頑張りが給料に変わらない」ことで、資格も副業も、会社の給料の決め方を変えません。決め方の話とは別の話なので、この記事では扱いません。
決め方の中に上がる道が無いとわかったとき、いちばん困るのは、明日からのやる気です。
やる気が出ないまま働く期間に守ること
上がらないとわかったあと、モチベーションは上がりません。それは普通です。無理に上げなくていい。
ただ、手は抜かないでください。理由は、あなたの損得です。
手を抜いた期間は面接に残る
上がらない会社で手を抜いた期間は、転職の面接では「数字が出ていない期間」として残ります。面接官は、あなたの会社の決め方を知りません。見えるのは、あなたの数字だけです。
手を抜いた分の損は、会社ではなく、あなたに残ります。会社は、あなたが数字を落としても、決め方を変える必要がありません。
数字は自分の資産として残る
給料に変わらなかった数字も、次の場所では評価の材料になります。
何を、どれだけ、どういうやり方で取ったか。これはあなたの資産です。いまの会社で作った数字は、次の会社の面接で、そのまま持ち込めます。だから、いまの数字は会社のためではなく、自分のために作ってください。
勤怠と態度だけは崩さない
もう1つ、守ってほしいことがあります。勤怠と態度です。
会社が人を切るのは、素行や勤怠が崩れたとき、仕事をサボったとき、態度が悪くなったときです。普通にやっていれば、どれだけ数字が出なくても切られることはまずない。逆に言うと、数字が出ていても、勤怠と態度が崩れれば切られます。
やる気が出ない日があっても、ここだけは守ってください。ここが崩れると、辞めさせられる側に回ります。そうなると、次の場所を選ぶ余裕も無くなります。
やる気が落ちた理由の分け方と、手を抜いてよいところと抜かないところの線は、給料が上がらずモチベーションが落ちたときの記事に書きました。
ここまで守れているなら、次に決めるのは、どこまで来たら辞めていいのか、です。
給料が上がらない会社を辞める判断
辞めていいのは、決め方を確かめて、変わらないとわかったときです。決め方で線を引いてください。
決め方を確かめてから決める
「上がらない気がする」のまま辞めると、次の会社でも、同じ感覚のまま働くことになります。
なぜ上がらなかったのかを言葉にできないまま辞めると、次の会社を選ぶときにも、何を見ればいいのかがわからない。年収の幅だけで選び、また同じ決め方の会社に入る。この繰り返しになります。
だから、辞めるかどうかを決める前に、4か所を確かめてください。
上がらない会社の特徴と、辞めていい線
4か所を書き出して、自分の数字を会社の基準で置き直した。
数字は出ている。
それでも、4か所のどこかが止まっていて、動く見込みが無い。
これが、上がらない会社の特徴がそろった状態です。この状態なら、辞めていい。線はここです。
歩合に上限があって、あなたの数字はもう上限を超えている。査定が年1回で、上げる仕組みそのものが無い。決める人が現場を見ていない。どれか1つでも「動く見込みが無い」と確かめられたなら、あなたの頑張りは、その会社では給料に変わりません。
給料以外の理由が先に立っているなら
ここまで読んで、「私の悩みは給料じゃない気がする」と感じた人もいると思います。
訪問営業のつらさ、断られ続ける毎日、上司との関係。給料は辞めたい理由のうちの1つでしかなく、辞めたい気持ちのほうが先に立っている。それなら、判断の軸が違います。「営業を辞めたい」と感じたときに、何がつらいのかを自分の側と職場の側に分けて考える話は、営業を辞めたいと感じる原因を切り分ける記事に書きました。そちらを先に読んでください。
悪い会社ではなく、合っていない会社
上がらない会社を、悪い会社だと思う必要はありません。
歩合に上限がある決め方は、数字の波で月給が上下するのが嫌な人には合っています。いい月も悪い月も、手取りが大きく変わらないほうがいい、という人には、それが正解です。あなたの頑張り方と、会社の決め方が合っていないだけです。
だから、会社を責める必要はありません。合っていないなら、合う場所に移ればいい。
ただし、移った先で本当に上がるのか。ここは、はっきりさせておく必要があります。
転職で給料は上がるのか
上がる転職も、下がる転職もあります。転職そのものは、給料を上げてくれません。
転職すれば上がるとは言わない
私は人材紹介の会社の代表です。転職してもらえば、うちの売上になります。
それでも、転職前提で動くことは勧めません。モヤモヤがある状態で転職するのが、いちばん嫌だからです。転職前提で動くと、行き先の決め方を見ずに、求人票の年収の幅だけで選ぶことになる。
面接に強引に行ってもらって内定を取ることは、やろうと思えばできます。私は絶対にやりません。
上がる転職と下がる転職の違い
求人票の年収の幅は、上限まで出した人の数字を含んでいます。上の数字が、あなたの1年目の年収になるわけではない。
固定給が下がって歩合が増える転職では、数字が出るまでの期間は、年収が下がります。数字が出れば上がる。出なければ、前の会社より低い。上がるか下がるかを決めているのは、行き先の決め方と、あなたがそこで出す数字です。
行き先を選ぶときも、見るのは同じ4か所です。
私の前職でも給料は上がらなかった
自分の話をします。私の前職は、SaaS(ソフトを月額で使ってもらう商売)の会社でした。SaaSは、あまり上がりません。
入り口の給料は、そんなに低くない。ただ、上がらない。SaaSは基本的に赤字で始めるモデルで、月額で少しずつ回収していくので、最初のうちは人件費を高めに組んでも、そこから上げる要素が無いんです。そこから給料が上がることは、ありえないです。絶対にない。そこは約束します。実際にいたので。
ただし、SaaSを売る力そのものは、市場での価値が高い。目先の給料にとらわれなければ、経験として持っておく意味はあります。
自分の前職の業界をこう言うのは、入り口の給料が高くても、上げる要素が決め方の中に無い会社がある、と知ってほしいからです。求人票の入り口の額ではなく、そこから上がる道があるかを見てください。
やり方を変えるか、場所だけ変えるか
訪問営業がつらくて、でも稼ぎたい。そういう人に伝えたいことがあります。
同じやり方の会社に移っても、成果は変わりにくい。最初の章で書いた人たちは、訪問から反響中心の電話営業へ、法人向けから個人向けへと、接点の作り方を変えて成果が出ました。行き先を選ぶときに見るのは、給料の決め方と、そこでの接点の作り方の2つです。
いまのやり方で数字が出ていないなら、場所を変えるときに、やり方も変える。数字が出ているなら、同じやり方で、決め方の違う会社を探す。どちらなのかを、先に決めてください。
決めたら、あとは行き先の決め方を見分けるだけです。
頑張りが年収に変わる会社の見分け方
求人票の年収の幅では見分けられません。見るのは、固定給と歩合の内訳、歩合の上限、査定の回数が見える会社かどうかです。
求人票で見るところ
求人票で見るのは、次の3つです。
固定給と歩合の内訳
歩合の上限の有無
昇給と査定の回数
この3つが書かれていない求人は、面接で聞く前提で受けてください。求人票は限られた枠で書くものなので、書き切れていないだけの会社も多く、それだけで落とさなくてかまいません。
年収の幅だけを見て判断しないでください。「年収400〜800万円」の800万円は、歩合の上限まで出した人の数字です。幅が広い求人ほど、固定給がいくらなのかを先に見る。固定給が低くて幅が広い求人は、数字が出るまでの期間の年収が、いまより下がる可能性があります。
上がる会社は楽な会社ではない
頑張りが年収に変わる会社は、頑張りが足りないときも、それが年収に出る会社です。
数字が出た月は増える。出なかった月は減る。訪問営業なら、門前払いも、嫌な気持ちになる日も、変わらずあります。楽な仕事とは言えません。私は訪問営業を勧める立場ですが、そのつらさを、何でもないことのように言ってごまかすつもりはありません。
場所を変える目的は、頑張りが返ってくることです。ここを間違えると、上がる会社に入ったあとで「思っていたのと違う」となります。
求人票に出ない部分の確かめ方
査定の実態と、決めている人が誰かは、求人票には出ません。面接で聞いても、「実力次第です」で終わることがあります。
だから、その会社の中身を知っている人に聞いてください。実際にそこへ人を紹介して、入ったあとの給料がどう動いたかを見ている人なら、求人票に書いていない決め方を知っています。
行き先を探す段階でも、固定給と歩合の内訳、査定の回数、誰が決めるかを、候補ごとに比べてください。いまの会社で確かめた4か所は、そのまま次の会社を選ぶ基準になります。
給料が上がらない人からよく出る質問
本文で扱っていない疑問のうち、途中で引っかかりやすいものに、短く答えます。
何年も給料が上がらないのは違法か
違法にはなりません。法律に、給料を上げる義務は無いからです。
社員が常時10人以上いる会社には、就業規則に昇給についての決まりを書いておくことが求められていますが、それは「決まりを書いておくこと」であって、上げる義務とは別です。問題になるのは、給料が最低賃金を下回っている場合と、就業規則や雇用契約書に書かれた昇給の決まりを会社が守っていない場合です。何年も上がらないこと自体は、決め方の話です。
「昇給あり」なのに上がらない理由
「昇給あり」は、昇給の制度があるという意味で、上がる約束とは別です。
制度はあるが、上がる条件を満たした人がいない。年1回の査定で、上がる枠が決まっている。そういう会社でも「昇給あり」と書けます。上がる条件と回数は、給与規程で確かめてください。
昇進しても給料が上がらないのはなぜか
決め方の中で、役職と給料が結びついていない会社があります。肩書きだけ変わって、月給は同じ。
昇進の話が出たら、役職手当の額と、歩合がどうなるかを、先に確かめてください。昇進と給料の関係は、「昇進で上がるかは、上の人の給料でわかる」の節にも書きました。
基本給は1年でどれくらい上がるものか
厚生労働省の「賃金引上げ等の実態に関する調査」(令和7年)では、1人あたりの賃金の改定額は月13,601円と公表されています。社員が100人以上いる会社の、全業種を合わせた平均です。
営業職は、固定給と歩合の組み合わせで差がつくので、この平均と比べるだけでは答えは出ません。自分の雇用契約書と給与規程に書かれた決め方を、先に確かめてください。
物価と給料の話は、日本全体の問題か
日本全体の賃金の話は、確かにあります。物価が上がるのに賃金が追いつかない状況は、日本全体で起きています。
ただ、それは全員に同じにかかる話です。あなたの会社の決め方の話とは、別に考えてください。
まず、給料の決め方を確かめてほしい
今日、給与規程か雇用契約書を開いてください。そして、固定給の比率、歩合の条件と上限、査定の回数、決める人の4つを書き出してください。あわせて、自分の数字を会社の基準で置き直してください。
書き出してみて、上がらない理由が決め方にあるとわかったら、次に決めるのは、頑張りが年収に変わる場所がどこにあるか、です。辞めるかどうかは、その次です。
頑張っているのに上がらないのは、あなたの頑張りが足りないからではない。
頑張りが給料に変わらない決め方の中にいるからです。
それは、決め方の違う場所に移れば変わります。
